電子工作創作表現(2019/10/11)
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データシートと部品の選び方
- 部品を選ぶ時に基準となる「データシート」
- データシートを見比べることで、必要な部品を見定める
14回目は、データシートの読み方について解説していきます。殆どの部品は、買った時特に取扱説明書のようなものはついていません。その代わりメーカーが出している「データシート」という数ページ~数十ページのドキュメントが今はオンラインで殆ど公開されており、部品を使う時に必要な情報は基本的にその中に書かれています。
データシートで知れること
- その部品ができること
- その部品ができないこと、やってはいけないこと
データシートが読めるようになると「その部品で出来る事」が分かるようになります。使い方を書いた個人のWebページなど、使った人の記事では時々間違った事などが書いてある場合もあるのですが、(本講義の資料も気を付けていますが、もしかしたら勘違いなどがあるかも…)データシートは製造元が作っているので、とても信用できます。
反対にこの部品ではできないこと、やってはいけないことも書かれています。流してはいけない電圧や使ってはいけない温度などが書かれているので、部品本来の機能を発揮させるためにはこの範囲で使わなくてはいけません。
基本的なワード
- 定格(Rating)
- 特性(Characteristics)
- 寸法(Dimension)
- 評価・測定回路(Evaluation circuit)
一方で、データシートには実にたくさんの情報が載っています。パッと見難しそうですし実際難しいんですが、そういう情報というのは製品を作るような技術者に向けた情報なので、基本的な機能が使えれば良い我々は殆ど気にしなくて良い情報が半分以上あります。
必要な情報を見つけられるためには、上記4つのワードを覚えておくと良いでしょう。順番に解説していきます。
定格(Rating)
- 部品が正しく機能するための条件
- 定格電圧/電流/温度などがある
- 多少OKな最大定格と、一瞬でも超えられない絶対最大定格がある
まず定格について。これは部品が正しく機能するための条件のことで、先ほど言った「やってはいけないこと」の部類に入ります。これはトランジスタの回で使ったLED(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-08956/)のデータシートにある定格です。
DC FowardCurrentが700なので、700mAしか流してはいけないよということになります。その下はPulseとあるので、瞬間的に流せる電流が、10msまでなら800mAまで流せるという意味になります。
他には温度なども記述されており、使用時の温度と保存時の温度が別で書かれています。
これを超える電流や温度で使用すると正しい動作は保証できないというのが定格表です。
特性(Characteristics)
- その部品が持つ能力や性質
- トランジスタの増幅率やセンサの入力範囲・精度など
次の特性も定格とよく似ていますが、こちらは部品が「できること」を中心に書かれています。LEDのシートではコンディション欄の条件で出る部品の能力が書いてあり、700mAで200ルーメンの明るさ、半減角が120度というように書いてあります。自分が欲しい部品の性能を満たしているかどうかを確認するには、この特性欄を見るようにすると早く正確に知ることができます。特に明るさや色温度など、商品ページや店頭では確認しづらい情報が数字で比較できるので買い物の失敗を避けやすくなります。
寸法(Dimension)
- サイズや形状の詳細が書いてある
- パネルに付けるコネクタ等は必須情報
- ピッチやリードの太さも時に注意。2.54ミリ(0.1インチ)が基本
続いて寸法です。部品の大きさを表す寸法図で、ページの一番最初か最後に書かれていることが多いです。パネルにつけるオーディオ端子やDC電源のジャック等を選ぶ際には重要な要素になります。(画像はマル信無線のMJ073H(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-06257/)最近はミリ単位で書かれていることが多いですが、英語のドキュメントではインチ、たまにmil(1/1000インチ)で書かれている事もあるので選ぶ際は注意しましょう。
ユニバーサル基板に実装する時は、ピッチやリードの長さにも注意が必要です。
評価・測定回路(Evaluation circuit)
- より細かな特性を測るための回路だが、使い方の参考にもなる
- アプリケーション(Application)として書かれている優しいデータシートもある
最後に評価回路・測定回路です。図はフォトトランジスタ(http://akizukidenshi.com/download/tlp621-1.pdf)と呼ばれる部品の時間測定回路で、立ち上がり時間の誤差を測定する回路ですが、そのまま部品の使い方としてこの回路は有効です。使ったことがなく、Webでも情報が少ないような部品を試したい時には、この評価回路・測定回路と呼ばれる回路を参考にするとヒントになることがあります。
中にはアプリケーション回路という形で、使い方が提案されている丁寧なデータシートも存在します。
3W LED
http://akizukidenshi.com/download/ds/optosupply/OSW4XNE3C1S.pdf
フォトトランジスタ
http://akizukidenshi.com/download/tlp621-1.pdf
温度センサLM35 丁寧で英語・日本語あり
http://akizukidenshi.com/download/ds/ns/LM35_e.pdf
http://akizukidenshi.com/download/ds/ns/LM35_j.pdf
超音波センサ
http://akizukidenshi.com/download/ds/sainsmar/hc-sr04_ultrasonic_module_user_guidejohn_b.pdf
2SC3851
http://akizukidenshi.com/download/ds/sanken/2sc3851a_ds_jp.pdf
L6470 長い例
http://akizukidenshi.com/download/ds/st/L6470.pdf
http://akizukidenshi.com/download/ds/marushin/MJ073H.pdf