流 – ながれ

 

 この作品が動作する原理について詳しく説明できる者はそう多くない。作者でさえも全てを正確に説明しきることは難しいが、私達はそれよりも遥かに複雑なテクノロジーに囲まれて生活している。

 本作は一枚のプリント基板と、それに実装されたいくつかの電子部品で構成されている。有機的な形状にカットされた基板には銅箔パターンによって縞模様が描かれており、その上に点在する電子部品を石と見立てることで、枯山水庭園を模した作りになっている。

 これらの電子部品はACアダプタのコネクタを差し込む事で電源が投入され、同じく実装されたスピーカーからエンベロープのかかったホワイトノイズを発生させる。それはさながら打ち寄せる波の音のようであり、風にゆられた木々の葉がこすれる音のようでもある。

 枯山水庭園とはもとより、水を用いることなく石の組み合わせによって海や川の流れを想起させるようデザインが施された表現である。目に見えない水の流れを表現する庭園の思想と、目に見ることのできない電子の流れを構成するプリント基板の特性が重なって見えた事によって着想を得た本作品は、多くの人々がその全体像を知ることなく様々な電子機器を漫然と使い続ける現代に疑問を呈する事を目的としている。

 日常生活において手放すことのできないスマートフォンを始めとする電子機器などは、もはや体の一部と言えるほど自らの身体と深く関わっている。テクノロジーの内実を深く知りその中で何が起きているかを理解しようとする姿勢は、枯山水に縁の深い禅宗的教義における、自身の内面を見つめ直そうとする試みの延長線上にあると言えるのではないだろうか。

Stream (Japanese title : ながれ)

This artwork is made by PCB(Printed Circuit Board) and several electric parts, looks like Zen garden as known as Karesansui. It synthesizes enveloped white noise by circuit, and it sounds like sea wave, rustling of leaves, and some nature sounds.

Karesansui expresses invisible flow of river and sea without any water, and PCB controls invisible electrical flow. So Ive found common ground.

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