電子工作創作表現
- 講師について
- 内容について
今年度から非常勤講師として講義を持つことになりました、よろしくお願いいたします。
第一回はまだ皆さん履修登録も完了していない段階だと思いますので、簡単に自己紹介と電子工作創作表現という講義の内容について話していけたらと思っています。
講師について
加治 洋紀
2015年 多摩美術大学大学院情報デザイン研究領域修了。同年よりERATO川原万有情報網プロジェクト 特任研究員。
URL: http://sheep-me.me
作家として
「日辻」の名義で作家活動中。
電子部品をいけばなに見立てた「活線プロジェクト」などを制作
社会人(?)として
主に広告などクリエイティブに関わる開発業務で食べています。プログラムも書くし、電子工作や機械工作も
広告や企業展示など、クリエイティブに関連した開発業務で生計を立てています。オリエンテーションで時間が余ったら、最近やっている電子工作関連の事例についても紹介しようと思います。
電子工作創作表現で学ぶこと
- 着地点について
- 具体的な技術など
では、内容についてです。大きくこの講義で学ぶことの着地点についてと、具体的にどういった技術について解説するかという点を今日は話せたらと思っています。
電子工作創作表現の着地点
- 自分の目的に必要な技術をリサーチできるようになる
- 実装力を身に着け、作品制作や研究につなげる
今回の講義では、着地点を大きく2つ考えています。
一つは電子工作におけるリサーチ力、もう一つはそれらを自分の手元で実現する実装力です。
必要な技術をリサーチできるようになる
- 電子デバイスを包括的に学ぼうとすると、それだけで大変
- 電子工作における学習について学習する
電子デバイスと一口に言っても、非常に多くの規格やノウハウが存在しています。
照明、オーディオ、モーターに関する回路、それぞれの専門家やそれだけを作っている会社があるくらい奥の深い世界なので、私もまだまだ知らないことだらけですし、ましてや週一の講義で紹介しようとすると限界があります。
なので、本講義では基礎的な要素を教えながら、応用的な目的を実現する方法について、ヒントとなる資料や調べ方についてもレクチャーしていきたいと思っています。
作品や研究につながる実装力をつける
手を動かす!
そしてもう一つはそれら自分で調べた情報を元に、実際に動作する回路として実装していく力をつけていくことを目標とします。
とにかく手を動かすということです。ソフトウェアと違って環境が整わないとなかなか手をつけづらい分野だと思うので、なるべく手を動かせるような時間も取れる内容にしていきたいと考えています。
具体的な内容について
具体的な内容について、シラバスに沿って少し触れていきます。
Arduinoを使った電子工作の基礎
- 電気・電子機器を扱う上での安全について
- アクチュエータ・センサーの基礎
- Arduinoの開発基礎
まず最初に電気に関する基礎知識や安全について解説していった後、光や振動センサのような、簡単に扱えるセンサーやアクチュエータの仕組み、使い方について実践を交えながらレクチャーしていきます。
そしてセンサーについて説明する段階で出てきますが、Arduinoというデバイスがあるので、それについても時間を取って解説していこうと思っています。
Arduinoについて
アート関連で最もよく使われているマイコンボード
USBでパソコンにつないでプログラミングをするだけで、簡単にハードウェアが制作できる
公式URL(英語)https://arduino.cc/
Arduinoは基本的な電子工作をする際に便利なツールで、大体3000円くらいで本体が買えます。
講義用に学校にもいくつか購入してもらおうと今進めていますが、自分でも色々試してみたい人は買ってみると良いでしょう。
アマゾンで500円くらいの安い互換品が有ったりしますが、初学者には分かりづらい仕様の違いがあったりするので、もし買うとしたら一台は純正のものを持っておくことをお勧めします。詳しい理由は追々講義でも説明しようと思っています。
モジュール等を使った電子工作
- モジュール基板との通信を使ったセンシング
- トランジスタやモータードライバを使ったアクチュエーション
基礎的なところをさらった後に、もう少し込み入ったセンサーやモジュールを扱っていきます。
傾き検知や気温・気圧のようなセンサーはモジュールという形で売られている事が多いので、そういったモジュールの使い方についてレクチャーしていきます。
アクチュエータについては、これも追々やっていきますがArduinoで扱える電気の大きさには限界があるので、大きな照明やモーターを動かす力がありません。卓上の電子工作から、もう少し展示スケール・舞台スケールで大きな装置を扱いたい時のスケールアップの仕方について解説していきます。ここまでで前期くらいのイメージです。
ハードウェアによる音響制作
- マイコンによる音響合成
- Mozziを使ったオーディオ制御
- アクチュエータを使った発音
後期はもう少し特定の目的に沿ったレクチャーをしていこうと思っています。
音楽部なので音を重点的にやろうと思っていますが、電子工作で音を出すやり方にも色々あります。シンセサイザーやサンプラーのようなものを自分で作るというのもありますし、動く物で物理的に音を鳴らすというようなアプローチもあると思うので、この辺りもいくつか紹介しながら実践できればと考えてます。
TouchDesignerとの連携
- DMXやシリアル通信について
- 照明演出
- 機械装置演出
そしてこの講義の1コマ前にある比嘉さんの「映像音響処理概説」でTouchDesignerというソフトを使った講義があると思いますが、両方取る人が結構いるかなと思うので自分で作ったデバイスをTouchDesignerで連携する、ということもある程度時間を割ければと思っています。
講義を受けるにあたって必要な要件
- ある程度の手作業ができること
- 基本的なコンピュータの操作ができること
なので、講義を受けるにあたりある程度の手作業ができること、基本的なパソコンの操作ができることを前提とします。
電子回路の組み立ては多少細かな作業がありますが、よほどの不器用でない限りは大丈夫なので安心してください。ものすごい小さなプロダクト等を作ろうとしない限り手先の器用さはそこまで求められません。
PCについても、そこまで込み入ったことはしませんが、Arduinoに書き込むためのプログラミングは少しやることになります。
成績・評価
- 出席
- 簡単な課題
評価についてですが基本出席と、簡単な課題は少なくとも前期の終わりでは出してみたいなと思っています。ただ電子工作は手間をかけるとかけるだけお金がかかってくるので、じっくり考えて、少ない手数でクリティカルな物を作るようなものを考えています。
講義資料について
http://sheep-me.me/
「講義資料」のページを作りました。
そして講義資料ですが、スライド資料がテキストベースになっているものを逐次アップロードしておくので、復習に活用してください。サンプルソースコードのような配布資料があった場合も、こちらのページを本講義におけるポータルということにしておきます。