第三項 アクチュエータの基本

第三項 アクチュエータの基本

電子工作創作表現(2019/5/9)

スライドPDF

評価について

  • 前期・後期で1度ずつ提出の課題
     
  • 出席も参考程度にとります
初回の時にふわっとしか話せておらず、前回質問されたので改めて書いておきます。
成績については前期と後期で1回ずつ簡単な課題を出そうと思っています。
課題メインですが、出席も一応取ります。

今日の内容

  • LEDを使って、Arduinoからのデジタル/アナログ(PWM)出力
     
  • ピエゾスピーカーで簡単な発音
     
  • 各部品について解説

アクチュエータ=出力部品について

  • センサーは現実で起きていることを「数値」に置き換える装置
     
  • アクチュエータはその逆で、数値を何らかのエネルギーとして出することができる
前回のセンサーに続き、今回はアクチュエータをいくつか触ってみようと思います。
センサーは起きている事を数値=電気信号に置き換える装置であるということは前回話しましたが、アクチュエータはその逆で、電気エネルギーを別のエネルギーに変換するための装置です。

アクチュエータの例

  • LED
  • スピーカー
  • モーター
代表的なものとしてはLED・スピーカー・モーターなどです。
LEDやスピーカーは小さいものならArduinoから簡単な制御ができるので、今日はこの2つを実際に触ってみますが、その前に先週の復習も兼ねてArduinoについてもう少し詳しく解説していこうと思います。

Arduinoの「ピン」

Arduino

  • アナログ入力ピン
  • デジタルピン
  • 電源・GNDなどその他システムピン
前回も使ったArduinoの黒いソケット部分ですが、穴のひとつひとつを「ピン」と呼びます。中には金属のバネが入っていて、これが回路を通じてArduinoのマイコンと電気的に繋がっています。

ピンにも種類があるのですが、大きくアナログ入力ピン・デジタルピン・その他のピンに分けて説明します。

アナログ入力ピン

Arduino

  • UNOではA0~A5までの6本
  • 0~5Vまでの電圧を0~1023まで
まず前回使ったアナログピンですが、これはUNOの場合A0からA5までの6本のピンがあって、同時に使うことができます。

0~5Vまでの電圧を0~1023までの1024段階で計測することができます。

補足

  • 電圧の高さは、基準電圧によって決まる。デフォルトでは5V
     
  • AREFピンとanalogReference関数でより低電圧で細かい入力も可能
ちなみに補足すると、5Vというのはデフォルトの値なのでここは変更することが可能です。(5V以上には設定できない)
AREFピンに基準となる電圧を加えて、analogReference関数で設定を変更することで例えば0~1Vの範囲を1023段階で刻むなど、より細かいパラメータを見ることができるようにもなります。

デジタルピン

Arduino

  • デジタルピンは「入力」「出力」両方できる
     
  • 入出力とも0(=0V)か1(=5V)の二種類しか区別することができない
     
  • なんちゃってアナログ出力「PWM」が使えるピンがいくつかある
そして今日使うのが、13本あるデジタルピンです。アナログピンは入力だけなのですが、デジタルピンは入力と出力を切り替えて使うことができます。
 
このデジタルピンは0か1の2種類の状態にしかなれません。出力はArduinoの場合、0Vか5Vを出す事ができ、入力の場合は、2.5V周辺を境目に、それより高いか低いかで0か1の数値を取ることができます。

なので微妙な変化を取ることは難しいですが、スイッチを使う時なんかは6個しかないアナログ入力ピンを使わずにデジタル入力ピンを使えば良いわけです。

そしてこのデジタルピンには番号にチルダ(~)が付いているものもあります。これらのピンには「PWM」という技があって、コレを使うと「アナログ出力っぽい」ことができるのですが、それについては後述します。

その他のピン

Arduino

  • 外部の部品に電源を供給したい時に便利なVIN/GNDピン
     
  • RESET・AREF・IOREF
     
  • TXD・RXDはなるべく使わないようにするのがオススメ
最初のうち主に使うピンはデジタルピンとアナログピン、そしてPOWERと書かれている電源ラインのピンになってくると思います。
VIN/5V/3V3はそれぞれ所定の電圧が出ているピンです。5Vはそのまま5V、3V3は3.3Vの事で、VINは電源のプラスに直結していますが、USBを使っている限りはここからも5Vが出ています。

RESETピンはArduinoのプログラムを最初からやり直すためのピンで、自動で再起動させたい時などに使います。AREFは先ほど補足したピンで、IOREFはデジタル入力の基本電圧5Vが流れているだけなので、殆ど使う事はないでしょう。

あとは0番・1番ピンを見るとTXD・RXDと書かれたピンがあります。これはデータ通信用のピンでUSB側とも繋がっています。ここを埋めてしまうとプログラムを書き込めない場合があったりするので、使うピンが少ないうちは使わない方が何かと便利です。

補足

  • ArduinoUNOはUSBじゃなくてもACアダプタから5~12Vの電源でも動作可能
     
  • VCCが電源電圧、5V3Vはレギュレータに繋がっている
VINについてもう少し詳しく説明すると、ArduinoにはUSB以外に外部のACアダプタを接続するポートがついていて、こっちの電源で動作できるようにもなっています。電源からきた電圧は一度レギュレータと呼ばれる部品によって5Vまで落とされてArduinoのCPU部分に供給されるようになっています。

こちらは推奨最大12Vまで突っ込めるようになっており、高い電圧で動くモーターのような部品を1つの電源で動かしたい時などはこっちを使うと便利です。その場合5Vピンからは5V、VINピンからは12Vが出てくるということになります。

LEDを点灯してみる

Arduinoの画像

結線&書き込み

それではLEDを点灯させてみようと思います。
図のように結線をしたら、以下のコードを記述して前回同様Arduinoにアップロードしていきます。
1秒ごとにLEDが点滅したら成功です。

digitalWriteというのが、デジタル出力をするための「関数」と呼ばれるものです。
Arduinoのプログラムについては次回じっくりやっていこうと思っていますが、ここではdigitalWriteの後のカッコに命令の詳細を書いていて、「9番ピンをデジタル出力のHIGH/LOWにする」という意味を持っています。HIGHの時には9番ピンの電圧が5Vに、LOWの時は0Vに変化します。

その次のdelayというのはディレイ=遅延という意味で、指定した数値のミリ秒分何もせずにプログラムを停止させます。ここでは1000ミリ秒な1秒止まってはHIGH、1秒止まってはLOWという具合に切り替えることで、LEDの点滅を繰り返しています。

void setup()
{
    pinMode(9, OUTPUT);
}

void loop()
{
    digitalWrite(9, HIGH);
    delay(1000);
    digitalWrite(9, LOW);
    delay(1000);
}

PWM出力をしてみる

デジタルピンからPWM出力を試す

点滅だけでは少し味気ないので、先ほど少し触れたPWMを使ってもう少し気の利いた表現をしてみましょう。今のスケッチは後で使いたいので、好きな名前で保存しておいてください。

保存したら新しいスケッチを立ち上げて、今度は以下のようなコードを書きます。少しかっこの数が多いので注意しながら書いてみてください。

正しくコーディングできると、LEDがふわふわと点滅します。

void setup()
{
    pinMode(9, OUTPUT);
}

void loop()
{
    analogWrite(9, (sin(millis() / 300.0) + 1) * 128);
}

PWM出力は仮想のアナログ出力

  • Pulse Width Modulation(パルス幅変調)
     
  • デジタルのHIGHとLOWを高速に切り替えて、間を表現している
     
  • 漫画のトーンに近いイメージ
digitalWriteの時は消えてるか点いているかハッキリしてましたが、今度のプログラムではanalogWriteという関数を使いました。これは0~255の数字を指定すると、0~5Vの中間の電圧を指定できるものです。ここでは、Arduinoのプログラムが実行されてからの時間millis()関数と、三角関数であるサイン関数を使って0~255の間を上下するようなプログラムを書いています。

これはPWM(パルス幅変調)という方式で、デジタルのHIGHとLOWを目に見えないスピードで高速に切り替えながら、その割合を変化させることで中間の電圧がかかっているように振る舞うというものです。iPhoneのハイスピードカメラで見ると、チラつきが見えたりします。

漫画のスクリーントーンを想像してもらうと分かりやすいと思います。漫画雑誌の印刷は通常白か黒の2色だけで印刷しているのですが、黒をものすごく細かくまばらに点在させることで見せかけのグレーを表現しています。それと同じで、HIGH=5Vにしている時間をまばらにすることで「見せかけの低電圧」を作っているということです。

PWMはケース次第で使えない

 

  • 綺麗な「アナログ出力」はコストが上がる
     
  • PWMではないアナログ出力はDACと呼ばれる
そのため、LEDなどで諧調のある表現をする分には問題ないのですが、スピーカーやモーターなど一部の部品についてはこのPWMでは都合の悪い場合が出てきます。なので厳密な原理はまだそこまで理解しなくても大丈夫ですが、あくまで「それっぽいアナログ出力」として認識しておいた方が良いでしょう。

補足:何故こんな回りくどいやり方をするかというと、基本的にデジタルの世界であるマイコンでアナログ電圧を出力するというのは地味に部品数が多くなって、コストがかさむ傾向があります。ケース次第で使えないといいつつ、大抵のことはPWMで十分対応ができるので、アナログ出力はデジタルピンでPWMしてくださいよ、ということになってるんですね。

ちなみにPWMではなく純粋なアナログ電圧を出力する方法はDAC(Digital-Analog-Convert)と呼ばれます。DAWをやってたりすると聞く言葉かもしれません。電子工作ではこのDAC専用のICをArduinoと通信させて扱うというような事ができるので、それもいずれ解説していこうと思います。

圧電スピーカー

Speaker

同様にスピーカーも試してみます

同じように、スピーカーも試してみましょう。先ほどと同じように9番ピンとGNDに、圧電スピーカーを接続します。スピーカーの場合抵抗は必要ありません。

LEDの時に保存したプログラムを再利用しますが、delayの値2か所を1000から1に変更します。とても簡単な方法ですが、圧電スピーカーから矩形波が出てきます。delayの値を変えると周波数が変わるので、音程が変わってきます。

void setup()
{
    pinMode(9, OUTPUT);
}

void loop()
{
    digitalWrite(9, HIGH);
    delay(1);
    digitalWrite(9, LOW);
    delay(1);
}

部品解説

  • カーボン抵抗
  • 圧電素子
     
  • LED
前回説明を省略してしまったカーボン抵抗とLED、圧電素子について説明しようと思います。

抵抗について

  • 地味だけどよく使う「抵抗器」 一般的なのは「カーボン抵抗」
     
  • 原則、部品には抵抗を付ける。流れる量は「オームの法則」で決まる
     
  • I = V / R  (電流=電圧÷抵抗)
電子部品の多くは、単体では殆ど抵抗が無い(0ではない)ように作られています。回路に流れる電流は電圧(V) / 抵抗値(Ω)で決まるので、そのまま電源やICに直結すると大量の電流が流れてしまいます。

条件によって流したい電流は変わってくるので、その都度必要な電流を流すための抵抗値を差し込んであげる必要があります。

直結について

direct

  • LEDを直結した図もたまにあるが、よくは無い
     
  • GNDに向かう線は、原則一度は抵抗があるようにする
まれにArduinoにLEDを直接差してる図や写真があったりしますが、あまりよろしくありません。

最近のLEDが多少電流を多く流しても壊れにくくなったというのと、オームの法則とは別にArduinoのデジタル出力からは20mAしか流せないという条件からこういうことが出来てしまうのですが、LEDとArduino両方の寿命を縮めることになります。

GNDに向かっていく線をたどった時には原則として抵抗が存在しているように回路を組みましょう。(例外として抵抗内蔵型のLEDというのもあって、直接差して大丈夫なものもあります)

圧電(ピエゾ)素子

  • 電圧をかけると形が変化する薄い膜状の素材(水晶など)が使われる
     
  • この素材が、スピーカーのコーンに当たる役割を持っている
続いてスピーカーとして使った圧電素子について。これは電圧をかけると形が変化する膜状の素材が使われていて、それがコーンの代わりになって音を出すことができます。

そのためあまり繊細な表現はできませんが、簡単な電子音を鳴らすブザーなどによく使われています。

ピエゾは電流が流れない

  • 電圧で押し込むようなイメージ
     
  • コンデンサなど「電流が流れない」部品も一定数存在する
     
  • 一般的なスピーカーはこの限りではない
先ほど回路には原則抵抗を入れるという話をしましたが、ピエゾには抵抗を入れませんでした。
これは何故かというと、ピエゾの線には電流が流れず、電圧が加わるだけで形が変化するためです。

このように電流が流れない部品も一部あって、コンデンサなどが代表的な例ですが、そういう時には特に抵抗が必要ない場合が多いです。入れても動きます。

ただし気を付けたいのが一般的なコーンの入っているスピーカーは全く違う原理で動くためこの限りではないので、電流のコントロールは必須です。

LEDについて

  • Light Emitting Diode(発光ダイオード)の略
     
  • 電流の入り口「アノード」と、出口「カソード」がある
     
  • 電球と違い流れる方向は一方向
LEDは今や電子部品に限らず照明としても超定番の素子です。白熱電球や蛍光灯よりも少ない電流でより明るい光を出す事ができて、発熱も少ないので寿命も長いためです。

元々「ダイオード」という電気を一方向だけに流すための部品があったのですが、その性質を応用して発明されたので「Light Emitting Diode=LED」という名前がついています。

ダイオードなので電源側を接続する「アノード」と、GND側に接続する「カソード」があります。今日使った砲弾型のLEDの場合は大抵片方の線が長くなっていて、長い方がアノードというのが定番になっています。

補足:足の長さで分かるようになっているので、配線の都合で切ってしまったりすると分からなくなることが多くありますが、そういう時は中の金属部分を見ると分かることがあります。素子の小さい方がアノード側になっていることが多いので、大量に切って使ったりする時は参考にすると良いでしょう。

LEDの種類

  • 色や形で非常に多くのバリエーションがある
     
  • 大量に制御したい時にはNeoPixelことWS2812が便利
今日使ったのは単色の青色LEDでしたが、当然色々なLEDがありますし、1個の樹脂に3色のLEDが封入されたフルカラーLEDというのも存在します。

1個あたりの値段が100円しないものも多くあるので、色々買って試すだけでも楽しいと思います。

LEDをたくさん使ってコントロールしたい時に便利なWS2812、通称NeoPixelと呼ばれるLEDがあるのでそれの制御についても解説しようと思います。

次回予告

  • Arduino IDEのコーディングについて
     
  • TinkerCADを使ってやってみます
次回ですが、ArduinoIDEのコーディングについてやっていきたいと思います。
ソフトウェアが中心になるので、TinkerCADを使ってみようと思います。TinkerCADを使うにはアカウントの作成が必要なので、前もって登録しておいてもらえると助かります!

第二項 Arduinoとセンサー入力の基本

第二項 Arduinoとセンサー入力の基本

電子工作創作表現(2019/4/25)

スライドPDF

Arduinoに触る

http://sheep-me.me/media/IMG_1635.jpg

  • 電子部品を手軽に扱えるようにするツール
     
  • もっとも基本的なのがArduino UNO(左側)
     
  • たくさんの種類がある
今日から実際に電子部品に触っていこうと思いますが、そのために必用なツールArduinoについて紹介します。ワンボードマイコンと呼ばれる電子基板のことで、電子部品でやれる基本的なことは大概これにプログラムを書き込むことですぐ実現できるようになっています。

Arduino UNOと呼ばれるものが一番ベーシックなタイプです。よく似たものにLeonardというものがありますが、最初のうちはUNOを使う事をおすすめします。

込み入った話しをすると、UNOが使うATmega328PではなくATmega32u4というチップを使っていて、これはUSBホストとして振る舞えるのでマウスやキーボードとして動作させたり、UARTというシリアル通信ポートがUSB以外にも付いていたりとちょっとだけ違います。込み入ったことをやり始めるとハマったりすることがあるので、まずはUNOで練習するのが良いでしょう。

他にもたくさんの種類があります。メインストリームのUNOはこの前にいくつもバージョンアップを重ねていて、生産終了したものではDuemilanoveやDiecimilaという物があります。もともとイタリアで産まれたプロジェクトなので、イタリア語がよく使われています。

他のArduino - Arduino nano/micro

Arduino nano

小型のArduino。小さい空間に使ったり、ウェアラブルデバイスにも便利

用途別のラインとして開発されているものもあり、Arduino nanoはUNOを小型化したタイプ、Arduino microはLeonardを小型化したタイプとして位置づけられています。小さなデバイスやウェアラブル用途に向いています。

他のArduino - Arduino mega

Arudino mega

大型で入出力が多いArduino MEGA

他にはArduino megaという、電気を入出力するチャンネルがたくさん付いたバージョンもあります。作品によってはArduino UNO/Leonardで実現しにくい事もあるので、こういったシーンに応じて使い分けができるというのも頭の片隅に置いておくと良いと思います。

Arduino IDE の基本画面

http://sheep-me.me/media/01-ide.png

ArduinoIDEを起動すると、このような画面が出てきます。IDEとは統合開発環境(Integrated Development Environment)のことで、ようはこのソフトの事を指します。ソフトを指して「Arduino」と言ったりすることもありますし、それで通じる事もありますが、ここでは基本的に本体をArduino、PC上で動くソフトの事をArduino IDEと表記します。

Arduinoはここにスケッチと呼ばれるプログラムを書いていって、最終的にUSB経由で書き込む事で目的の動作を実現します。一度書き込んだプログラムは基本的にはArduinoの中に残ったままになるので、ArduinoIDEを閉じてもArduinoの中でプログラムは動作し続けますし、USBを差し直せばまた最初からプログラムが動作します。

サンプルのプログラムBlink

http://sheep-me.me/media/01-blink.png

試しに、プログラムをArduinoに書き込んでみましょう。メニューのファイル>スケッチ例>01.Basics>Blinkを選択すると、新しいウィンドウが開き、プログラムのサンプルが読み込まれます。このスケッチ例には、色々なプログラムのサンプルが登録されているので、コードが読めるようになると、Arduinoにどんな機能が備わっているか、特定の機能を実現する時にどんなコーディングをすれば良いか、知ることができます。

プログラムを書き込む

プログラムを書き込む

読み込んだコードを実際にArduinoに書き込みます。ツール>シリアルポートを選んで、書き込むデバイスを選択します。シリアルポートというのはPCが外のデバイスとやりとりする出入り口のようなもので、英語だと「港」という意味です。PC本体が陸地だとすると、データがやりとりされる港のようなものなので意味を覚えておくと理解しやすいかもしれません。

シリアルポートの中に(Arduino/Genuino Uno)という表記があれば、それを選択します。表記が出ない場合は、Arduinoを抜くと消えるポートが出てくるので、それがArduinoのポートだということが認識できます。Macの場合ttyとcuから始まる物があるかもしれませんが、どちらを選択しても構いません。

それとその上の「ボード」も確認します。どのタイプのArduinoに書き込むかという事を明記する必要があります。

書き込み&実行

書き込み・実行

設定ができたら、矢印マークの書き込みボタンを押すと書き込みがされます。しばらく下の領域に文字がつらつらと流れた後、日本語だと「ボードへの書き込みが完了しました。」と表示されます。こうなると書き込み成功です。

”Lチカ”

Lチカ

正しく書き込まれていると、基板の上の方にあるLEDが1秒おきに点滅します。これでArduinoにプログラムを書き込む手はずは整ったので、実際に電子部品を扱ってみようと思います。

センサー(入力)とは

現実で起きている出来事を、プログラム上の「数値」に置き換える

まず最初は「センサー」を扱おうと思っています。センサーと言う言葉はわりとどの言語圏の方も馴染みあると思うのですが、電子回路においては、現実に起きていることをプログラムの中の数値に直して扱うという考え方です。

明るさセンサーを読み取る

フォトトランジスタNJL7302L-F5

秋月電子で1個50円

フォトセンサ

実際に明るさセンサーNJL7302L-F5(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-08700/)を使って、センシングまでの流れを追ってみます。ちなみに光センサにはフォトトランジスタの他にCdsセルというのもありますが、こちらは硫化カドミウムという有害な物質を含んでいるので最近はあまり使われなくなっているようです。

ブレッドボードに配線

circuit

ブレッドボードにセンサーを差し込み、Arduinoと接続していきます。(TinkerCadの都合上光センサが白いです)ブレッドボードは隣り合って並ぶ穴が電気的に中で繋がっている板になっていて、部品を差し込んでいくだけで回路が作れる便利グッズです。

フォトとランジスタには極性があるので注意してください。赤い線とつなぐのは、少しだけ足が長いコレクタ(=電気を集めるのでCollect)、緑の線とつなぐのは短い方のエミッタ(=電気を放射する、発するのでemit)です。

プログラムを入力

接続が終わったら、このようにコーディングします。A0ピンに送られてくる電気の電圧を計測して、USBから数値を出力するプログラムです。

void setup() {
  Serial.begin(115200);
}

void loop() {
  Serial.println(analogRead(0));
  delay(12);
}

シリアルモニタ

monitor

プログラムの書き込みができたら、ツール>シリアルモニタか、画面右上の虫眼鏡マークをクリックして、シリアルモニタを開きます。シリアルモニタはUSB経由でデータをやりとりするためのもので、Arduinoのプログラムから送信されたデータを表示してくれます。

通信速度を先程コードで書いた数値と同じ115200に設定すると、数値がたくさん流れてきます。この状態でフォトトランジスタに手をかざして、数値が変化すれば成功です!

シリアルプロッタ

値の確認に便利なシリアルプロッタ
 

シリアルモニタと同時には起動できないが、シリアル通信で流れてきたデータをグラフにしてくれる

plotter

そしてもう一つ便利なシリアルプロッタという機能があります。これも一度シリアルモニタを閉じてからツール>シリアルプロッタと押すと出てきて、先程の数字を自動的にグラフで表示してくれます。

数値の変化を直感的に読み取ることができるというのと、センサーの微調整や複数の値を比較する時に重宝します。

アナログの値を図る回路

アナログ入力をする時の基本形

circuit

Arduinoで値が取れたところで、回路に戻りましょう。
ワイヤーで3本の線をつなぎましたが、線が2本ある部品の場合、多くがこのような形で配線をします。一方を電源(プラス)、もう一方を抵抗を介した状態でグラウンド(マイナス)に接続し、部品と抵抗の間から線を伸ばしてそこの電圧を図るという形です。

構造が単純なセンサーの多くがこのような電源・グラウンド・Voutの3線式の形を取っているので、この図を頭の隅に置いておくと今後色々と便利になると思います。

抵抗が変化するタイプのセンサー

  • 光量・温度等センシングする条件によって抵抗値が変わる
     
  • 「分圧回路」を作ってあげてセンサーで読み取る
光センサのように線が2本出ているタイプというのは、前の画像の回路のような分圧回路を作ってあげることで、Arduino等のマイコンで値の変化を読み取ることができるようになります。

フォトトランジスタはトランジスタの構造を持っているので少し特殊ですが、他多くのセンサーは、条件によって抵抗値が変わる仕様になっています。

モジュールになっている3線式のセンサー

  • Vcc・Vo・GNDがあらかじめパッケージされて出ているので、接続が楽
     
  • 電圧ではなくデータを送信する場合もあるので注意(センサー応用編で解説します)
また、この回路があらかじめ組まれている親切なタイプのセンサーも販売されています。
例:
 磁気センサー(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-11029/)
 距離センサー(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-02551/)

このように必要な機能がある程度組み込まれたものを「センサモジュール」とか「パッケージ」とか言ったりするのですが、このパッケージの中に先ほどのような回路が組み込まれているので、Arduinoから利用する時は出ている3本線をつなぐだけでセンサーの値を取ることができます。

ただし、同じ3線式でも電圧の上下ではなくデジタルの信号を送信してくるタイプもあるので、自分でセンサーを買って試してみる時にはデータシートをよく読んで確認してください。そのようなタイプのセンサーの使い方は、また後の講義で解説します。

データシート

  • 部品の使い方など細かい情報は「データシート」を読むと分かる
データシートという言葉が出てきましたが、これは部品に関する情報がまとまった、いわゆる「取扱説明書」のようなものです。例えば先ほどの光センサは、秋月電子通商のWebサイトで確認することができます。(http://akizukidenshi.com/download/ds/jrc/NJL7302L-F5.pdf)

「XXセンサ Arduno 使い方」などで検索すると、たいていの物は丁寧な解説ページが出てきたりもするんですが、そういう方たちはじゃあどこで情報を得ているかというと、部品メーカーが制作しているこのデータシートが基準になります。

白黒で専門用語だらけですし、モノによっては全て英語だったりするのですが、このデータシートをしっかり読めるようになると自分の目的に合った部品を選定できるようになるので、色々なパーツを試してみたい人は頑張って読めるようにしておくと良いと思います。

電子部品屋さんについて

  • 電子部品と言えば秋葉原だが、最近は通販も充実
     
  • アマゾンにも色々売っているが、データシートのような情報は部品屋さんが充実
自分でも部品を色々買いたいとなったら、電子部品屋さんで購入するのがおすすめです。秋葉原はすっかりアニメカルチャーの街になってしまいましたが、それでも昔ながらの電子部品屋さんがたくさん残っています。

秋月電子のようにメジャーな電子部品屋さんだとだと、実店舗と通販を両方やっています。こういう所で買っておくと、普段は通販を使いつつ急に必要だったりした時に買いに走れるというメリットもあります。

アマゾンも最近は色々な部品が売られたりしているのですが、製品の情報が薄かったり怪しかったりするので、単純な部品以外は少し注意して購入するのが良いでしょう。

店舗情報

秋月電子通商

千石電商

マルツパーツ

スイッチサイエンス

第一項 電気と安全

第一項 電気と安全

電子工作創作表現(2019/04/19)

第一項では、実際に電子部品に触る前に
電気と安全についての基本的な概念を確認していきます。

電気の基礎知識

「電気の正確な知識」ではなく「便利な概念」を習得する

まず電気について。小中校と理科や物理で、さらに生活の中でなんとなく概念は分かってると思いますが、ここではもう少しだけ掘り下げて「物理的に正しい電気の正確な知識」ではなく「電気を道具として扱う上で便利な概念や考え方」という視点で、少し噛み砕いた言い方でポイントを抑えながら電気というものについて説明して行こうと思います。

電気とは?

電気力・電気伝導など、種々の電気現象のもととなるもの。多く、電荷・電流または電気エネルギーをいう。(大辞林 第三版)

→電気というものがあるわけではなく、"電子"が流れている現象周辺の事を指す

電気とは何ぞやと辞書を引いてみると、このように書いてあります。何でこんな書き方かというと、電気という物体そのものは存在していないわけで、実際は電子と呼ばれる素粒子の一種が流れる事によって起きる現象やその状態の事を広く「電気」と呼んでいるわけです。

しかし電子工作で電気を使う立場としては、あまりここの正確さは重要ではないので、軽く触れるだけにしておきます。

電気の使い方

力としての電気と、情報としての電気がある

電気を「使い方」という視点で見た時に、力としての電気と、情報としての電気というふうに大きく2つに分けることができます。

力としての電気

電気のエネルギーを他の有用なエネルギーに変換する

→光らせる・温める・動かすetc...

→規模が大きくなると、強い電気が必要

力としての電気というのは、電気エネルギーを変換して光らせたり、温めたり、動かしたり何か他のエネルギーにするという使い方です。
例:電灯・ヒーターの電熱線・モーター

情報としての電気

流す電気のパターンに意味をもたせるもの

→基本的には弱い電気を流す

情報としての電気というのは、電子部品同士や機械同士の間で、情報をやりとりするための電気です。電気信号とも言います。
身近な例ではオーディオケーブルや映像ケーブルに流れる電気がそれにあたります。
ここで使われる電気は、基本的に弱い電気を使っている事が多いです。

電気の強さ

電気の強さ電力(Watt)=電圧(Volt) X 電流(Ampere)

強い電気、弱い電気という言葉が出てきましたが、電気の強さは電力とも言い、数字で表されます。
単位はワットで、電圧と電流をかけたものが電力になります。
この電圧・電流というのはこれからよく使うものなので、言葉と違いをよく覚えておいてください。

電圧

電気を流そうとする強さ。単位はボルト

3.3/5/9/12/24Vなど、良く使われる電源電圧は決まっている

電圧というのは電気を流そうとする強さのことで、何か回路を作る時には、何ボルトの電圧を流すか決める必要があります。大体よく使われる電圧はいくつかの数字に決まっていて、USB機器に流れている電圧は5Vで動くのでArduinoも5Vで動作する設計になっています。

電流

回路に流れる電子の量。

→ざっくりと言うと「回路が消費する電気の量」

電流は、回路に流れる電子の量を表します。これだけだとナンノコッチャですが、電子回路を作るシーンにおいては、まず電圧の方が決まっているので、この電流というのが「その回路が消費する電気の量」と思っておくと大まかな感覚としては間違いないです。

例えば日本の家庭用電源は契約によって20Aとか30Aとかだったりしますが、電圧は全国で100V統一です。つまり20Aなら20Ax100V=2000Wまで使えるということになるので、同時に使う家電の総量がここに収まるよう計算すれば、ブレーカーによる停電を防ぐことができます。日常使う家電なんかは数十ワットで収まりますが、電子レンジなんかは1台で1000w使ったりするので、レンジでブレーカーが落ちる理由がよく分かると思います。

まとめ

  • 電気の使い方には「力として」と「情報として」の使い方がある
  • 電力(電気の強さW) = 電圧(電気を流す力V) x 電流(消費する電気A)

安全の基礎知識

続いては安全についてです。電子工作も、理工学系ではなくこういった芸術系の大学で教えるくらい間口が広く扱いやすい存在になったわけですが、その分安全面には一層注意を払わなくてはなと考えています。

作品制作と発表における危険

  • 作る時の危険
  • 見せる時の危険
作る時の危険と、見せる時の危険についてそれぞれ気をつける必要があります。

作る時の危険

  • 道具を正しく使う(1メートルは一命取る)
  • 電子工作で起こる危険は後述
作る時に気をつける事の基本は「正しく道具を使う」と同義です。
特に慣れている道具ほど気をつけなくてはいけません。「1メートルは一命取る」という安全標語があるように、大丈夫そうに見えてしまう状況が一番危険です。

見せる時の危険

  • 日々使う電化製品は、ものすごく厳しい安全基準をクリアしている
  • 自分が大丈夫でも、年齢・性別・文化などで安全性は変わる
私達が日常使っている電気製品には数多くの安全基準が課されています。普段何の苦労もなく使えているので、つい自分で作るデバイスを他の人が使ったり体験するようなシーンについては、そういった危険性を見落としがちです。

また、自分が体験して安全だったとしても、他の人にとっては危険ということもあります。強くて早い光の点滅がだめな人(子供は特にNG)や、暗い空間で心臓の鼓動のような音を聞くのが苦手な人もいます。

最近では2眼式のVRゴーグルを7~10歳以下の子供に体験させると眼球や視野の発達に影響を及ぼすのではないかという事が議論されています。(Oculusは13歳、Nintendo labo VRは7歳からなど)目新しいデバイスや、まだ多くの人が体験していないような装置にはそういった未知の危険性が潜んでいることもありますので、しっかりとリサーチをするなどより注意が必要です。

電子工作で起こりうる危険

  • 発熱
  • 発火
  • 感電
ここまで一般的な展示やパフォーマンスにおける安全性についてでしたが、電子工作で起こりうる危険について少し掘り下げてみようと思います。

発熱

  • 全ての部品は発熱する
  • 熱が溜まると、部品の溶融や発火につながる
  • ヒートシンクや空冷で「冷やす」
まず発熱ですが、ほんのり温かくなる程度や、触っただけでは分からないレベルも含めると基本的にほぼ全ての電子部品は大なり小なり発熱をしています。
導体には流れてくる電流を抑える抵抗という性質があるのですが、この抵抗によって熱が生じます。(摩擦熱のようなイメージ)

発生した熱は空気に触れたりすることで放熱されますが、放熱より発熱する量の方が多い時、温度が上がり続けて素子が壊れたり、周りのものを溶かしたり焦がしたり、最悪の場合燃やしてしまいます。

追々詳しく説明しますが、基本はファンやヒートシンクで「冷やす」ということと、そもそも発熱するのがおかしい場合は回路や使っている部品を検証し直すなどの対策が必要になります。

発火

  • 発熱及び放電+可燃性物質
  • 燃えやすい物は、とにかく離す
続いて発火です。これは発熱で可燃性の高い物質が熱せられる事で火が出る、というのが一番わかりやすいパターンです。電気が流れているもののそばに燃えやすい物をとにかく置かないというのが大原則です。

東京デザインウィークで投光器から出火して5歳の男の子が亡くなるという痛ましい事故がありました。あれも照明自体は通常使用で出る発熱量ですが、そこに燃えやすいおがくず状の木材が密着されていた事が原因の一つです。また、可燃性のあるガスうや液体については熱が出ていなくとも静電気やショートによる放電で発火することもありますうので、熱源が確認できていなくとも、電気回路のそばにはとにかく可燃性物質を置かない、やむをえない場合は相応の安全策を取り、舞台や展示会場の責任者に通達するなど対策を徹底するようにしてください。

感電

  • 電流量によって感じ方が変わる
  • 電源を入れたまま回路を付け替えたりしない
  • ケーブルやケースなどは必ず「絶縁」する
  • 作業によっては「電気工事士」の資格が必要なこともあるので注意
最後は感電です。これは可能性としては低い部類ですが、注意するに越したことはありません。要するに人体に電気が流れ込むことで神経が刺激されるわけですが、人間の筋肉も微弱な電気信号によって動いているので、強い電流が流れた場合心停止などもおきます。

プラスとマイナスに同時に触れれば回路が出来上がるので当然電気が流れますが、プラスだけを触っていても、地面や金属などに触れて電気の逃げ道があった場合は電気が流れる可能性は十分あります。

対策としては、回路をつないだり外したりする時は必ず電源を切るようにしてください。思うように動かなくて焦っている時などついやってしまいがちですが、危険です。

この講義では扱う予定は無いですが、100V電源など配線する時は特に気をつけてください。場合によっては「電気工事士」の資格が必要な事があります。

まとめ

  • 作る時の危険と見せる時の危険、それぞれ検証を重ねて準備を進める
  • 電子工作では特に「発熱・発火・感電」に気をつける。

安全についてさらに詳しく

舞台技術の共通基礎

山岡潤一さん - 安全な作品を作るには:体験型作品展示の安全管理チェックリスト

入門テキスト 安全学

なぜ13歳未満の子供は、Oculus Riftを使用してはいけないのか?医学的な見地からの警鐘

第〇項 オリエンテーション

電子工作創作表現

  • 講師について
     
  • 内容について
今年度から非常勤講師として講義を持つことになりました、よろしくお願いいたします。
第一回はまだ皆さん履修登録も完了していない段階だと思いますので、簡単に自己紹介と電子工作創作表現という講義の内容について話していけたらと思っています。

講師について

加治 洋紀
 

2015年 多摩美術大学大学院情報デザイン研究領域修了。同年よりERATO川原万有情報網プロジェクト 特任研究員。

URL: http://sheep-me.me

media/IMG_2920.jpg

作家として

「日辻」の名義で作家活動中。
電子部品をいけばなに見立てた「活線プロジェクト」などを制作

URL: https://instagram.com/kassen_project

media/IMG_2920.jpg

社会人(?)として

主に広告などクリエイティブに関わる開発業務で食べています。プログラムも書くし、電子工作や機械工作も

media/IMG_0550.jpg

広告や企業展示など、クリエイティブに関連した開発業務で生計を立てています。オリエンテーションで時間が余ったら、最近やっている電子工作関連の事例についても紹介しようと思います。

電子工作創作表現で学ぶこと

  • 着地点について
     
  • 具体的な技術など
では、内容についてです。大きくこの講義で学ぶことの着地点についてと、具体的にどういった技術について解説するかという点を今日は話せたらと思っています。

電子工作創作表現の着地点

  • 自分の目的に必要な技術をリサーチできるようになる
  • 実装力を身に着け、作品制作や研究につなげる
今回の講義では、着地点を大きく2つ考えています。
一つは電子工作におけるリサーチ力、もう一つはそれらを自分の手元で実現する実装力です。

必要な技術をリサーチできるようになる

  • 電子デバイスを包括的に学ぼうとすると、それだけで大変
     
  • 電子工作における学習について学習する
電子デバイスと一口に言っても、非常に多くの規格やノウハウが存在しています。
照明、オーディオ、モーターに関する回路、それぞれの専門家やそれだけを作っている会社があるくらい奥の深い世界なので、私もまだまだ知らないことだらけですし、ましてや週一の講義で紹介しようとすると限界があります。

なので、本講義では基礎的な要素を教えながら、応用的な目的を実現する方法について、ヒントとなる資料や調べ方についてもレクチャーしていきたいと思っています。

作品や研究につながる実装力をつける

手を動かす!

そしてもう一つはそれら自分で調べた情報を元に、実際に動作する回路として実装していく力をつけていくことを目標とします。
とにかく手を動かすということです。ソフトウェアと違って環境が整わないとなかなか手をつけづらい分野だと思うので、なるべく手を動かせるような時間も取れる内容にしていきたいと考えています。

具体的な内容について

具体的な内容について、シラバスに沿って少し触れていきます。

Arduinoを使った電子工作の基礎

  • 電気・電子機器を扱う上での安全について
  • アクチュエータ・センサーの基礎
  • Arduinoの開発基礎
まず最初に電気に関する基礎知識や安全について解説していった後、光や振動センサのような、簡単に扱えるセンサーやアクチュエータの仕組み、使い方について実践を交えながらレクチャーしていきます。
そしてセンサーについて説明する段階で出てきますが、Arduinoというデバイスがあるので、それについても時間を取って解説していこうと思っています。

Arduinoについて

アート関連で最もよく使われているマイコンボード
 

USBでパソコンにつないでプログラミングをするだけで、簡単にハードウェアが制作できる

公式URL(英語)https://arduino.cc/

media/a000066_iso_3_1.jpg

Arduinoは基本的な電子工作をする際に便利なツールで、大体3000円くらいで本体が買えます。
講義用に学校にもいくつか購入してもらおうと今進めていますが、自分でも色々試してみたい人は買ってみると良いでしょう。
アマゾンで500円くらいの安い互換品が有ったりしますが、初学者には分かりづらい仕様の違いがあったりするので、もし買うとしたら一台は純正のものを持っておくことをお勧めします。詳しい理由は追々講義でも説明しようと思っています。

モジュール等を使った電子工作

  • モジュール基板との通信を使ったセンシング
  • トランジスタやモータードライバを使ったアクチュエーション
基礎的なところをさらった後に、もう少し込み入ったセンサーやモジュールを扱っていきます。
傾き検知や気温・気圧のようなセンサーはモジュールという形で売られている事が多いので、そういったモジュールの使い方についてレクチャーしていきます。
アクチュエータについては、これも追々やっていきますがArduinoで扱える電気の大きさには限界があるので、大きな照明やモーターを動かす力がありません。卓上の電子工作から、もう少し展示スケール・舞台スケールで大きな装置を扱いたい時のスケールアップの仕方について解説していきます。ここまでで前期くらいのイメージです。

ハードウェアによる音響制作

  • マイコンによる音響合成
  • Mozziを使ったオーディオ制御
  • アクチュエータを使った発音
後期はもう少し特定の目的に沿ったレクチャーをしていこうと思っています。
音楽部なので音を重点的にやろうと思っていますが、電子工作で音を出すやり方にも色々あります。シンセサイザーやサンプラーのようなものを自分で作るというのもありますし、動く物で物理的に音を鳴らすというようなアプローチもあると思うので、この辺りもいくつか紹介しながら実践できればと考えてます。

TouchDesignerとの連携

  • DMXやシリアル通信について
  • 照明演出
  • 機械装置演出
そしてこの講義の1コマ前にある比嘉さんの「映像音響処理概説」でTouchDesignerというソフトを使った講義があると思いますが、両方取る人が結構いるかなと思うので自分で作ったデバイスをTouchDesignerで連携する、ということもある程度時間を割ければと思っています。

講義を受けるにあたって必要な要件

  • ある程度の手作業ができること
  • 基本的なコンピュータの操作ができること
なので、講義を受けるにあたりある程度の手作業ができること、基本的なパソコンの操作ができることを前提とします。
電子回路の組み立ては多少細かな作業がありますが、よほどの不器用でない限りは大丈夫なので安心してください。ものすごい小さなプロダクト等を作ろうとしない限り手先の器用さはそこまで求められません。
PCについても、そこまで込み入ったことはしませんが、Arduinoに書き込むためのプログラミングは少しやることになります。

成績・評価

  • 出席
     
  • 簡単な課題
評価についてですが基本出席と、簡単な課題は少なくとも前期の終わりでは出してみたいなと思っています。ただ電子工作は手間をかけるとかけるだけお金がかかってくるので、じっくり考えて、少ない手数でクリティカルな物を作るようなものを考えています。

講義資料について

http://sheep-me.me/
 
「講義資料」のページを作りました。

そして講義資料ですが、スライド資料がテキストベースになっているものを逐次アップロードしておくので、復習に活用してください。サンプルソースコードのような配布資料があった場合も、こちらのページを本講義におけるポータルということにしておきます。

Web movie – 日本電産「motorize」プロジェクト

Date :  2017/03/03

URL : http://www.nidec.com/brand/motorize/

Part : ハードウェア設計・開発

Description :

Webプロモーション用ムービー。まだモーターが出会っていないモノを「Motorize」するプロダクトを制作し、新たなモーターの可能性を模索するというコンセプトのプロジェクト。

 

自分のWebサイトを整理した。

ブログサービスで自分のアカウントを作っては放置するということを、もう1億回繰り返したような気がする。

わりとFacebookとTwitterがあればなんとなくネット空間で存在感を醸し出しておけるし、生きていく上で不自由無いと思っていたけど、やっぱりたまにサービスが落ちたりするとこう、自分で取ったドメインとサーバーの中で生きてる安住の地みたいな物が欲しいと思う。

あとは請けた仕事とか作品とか、きちっと情報をアーカイブしないといけないとも思ったので、ザクっとWordPressを立ててここに案件やブログなどを蓄積することにした。

さて何ヶ月続くのか…続くといいなぁ。ドメインのsheep-me.me(シープめぇめぇ)はわりと気に入ってるので、結構持つんじゃないかと思っている。こういうところが案外大事…about.meに次ぐ.meドメインのうまい使い方だという自負はある。ほんとはサブドメインでsheep.me.meが良かったけど。

Works – Flickers Music Video “midnight express”

Date : 2014/04/30

URL : http://www.theflickers.net/

Part : ディレクション・プログラミング

Description :

ロックバンドThe FlickersのメジャーデビューEP ”midnight express” ミュージックビデオ。楽曲タイトルになぞらえ、各トラックの音源に合わせて動く幾何学的な造形物が列車を形作っていくというコンセプトの映像作品。